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2011/05/14

アメリカで育つ子供を日本の型にはめ込んでしまう危険性



先月のぽーと会のミーティングでは、ゲストスピーカーとして現在大学1年生、と12年生のお嬢さんをお持ちのKさんの壮絶な子育てのお話を伺いました。

子供を厳しく育て、良い大学に入学させることが正しことだと信じ、努力されましたが、思いとは逆に子供の不登校、家庭内暴力、家庭破壊、ご主人のご逝去、と辛い道につながってしまいました。

これ以上不幸な子供と家族を増やしたくないということで、私たちに経験を話してくださいました。あまりに、スケールが大きすぎ、真実の10分の1もお伝えできないのですが、ざっとあらすじを書いてみたいと思います。

1. Kさんの歩んできた道

☆ 日本の有名大学卒業後、商社に勤務され、キャリアウーマンとして活躍、その後、MBA とCPA取得を目的に渡米。

☆ 日系3世の男性と結婚、二人のお子さんに恵まれたため、MBA取得を断念。

☆ 子供が2歳と4ヶ月の時、ご主人が心臓発作を起こす。日々の生活、将来に不安を覚えるようになる。

☆ ご主人の健康管理、子育てで、ますます自分のやりたいことから遠ざかる。

☆ 不完全燃焼になった自分の夢を子供の教育、将来に託すようになる。

☆ 子供たちのために、各種の習い事、アカデミックなサポートに全力投球する。

☆ 親のサポートが目に見えて成果を上げ、当然子供たちも楽しんでやっていると思っていた。

☆ ご主人のバイパス手術。さらに、ストレスが増す

☆ 子供たちが思春期、反抗期を迎える。それでも、ゲートクラス、サイエンスオリンピック、オーディション等での成果を期待する。

☆ あることをきっかけに、今まで親がコントロールできた子供が反抗するようになる

☆ 不登校、家庭内暴力が始まる。子供のために良かれと思って努力してきたことが、悪い結果になる。

☆ ありとあらゆるカウンセリング、解決策を探るが、効果がない。

☆ 追い詰められて、Kさんは自殺未遂。あわてたご主人が救急車を呼び、72時間精神病棟に入れらる。

☆ 退院後、子供たちから「お前とは住めない」と告げられる。

☆ 子供は、今まで母親から自分を守ってくれなかった父親に対しても、恨みを抱き、カウンセリングでも怒りをぶつける。

☆ K さんは力つき、日本に一時帰国する。

☆ 日本滞在中に、ご主人が動脈瘤破裂によって、脳死状態になった知らせを受ける。

☆ 帰国便の中で、「臓器移植のドナー」という声を聞く。

☆ ご主人の臓器のお陰で多くの命が救われた。

☆ 子供たちは、「家を出たい。一緒に暮らせない。」と主張し、譲らない。結局フォスターファミリーで預かってもらうことになる。

☆ 万策つき、自分はいったい何を悪いことをしたのかわからないけれど、ただ祈るしかできなくなった。




2. K さんが考える子育ての失敗の原因は次の通りです。

☆ 子供は天から預かっていただけなのに、親のエゴを押し通した。


☆ 夫婦間で、価値観や子育ての方向性が一致していなかった。


☆ 親の不完全燃焼になったままの夢を子供に託した。


☆ 子どもにとっては、重荷だったカリキュラムを「こどもは楽しんでやっている」と思い込もうとした。


☆ 夫や子供に対して、愛や感謝の気持ちがなかった。


☆ 子供に対して「もうちょっと~~だったら。」と不満に思っていた。つまり愛情のかけ方が間違っていた。


☆ 子供を変えようとしようとしていた。(本当に変わらなければならないのは自分だったのに)



お嬢さんたちとKさんの関係が改善されたのは、まずお母さんが徹底的に悔い改め、子供さんたちを天からの授かりものと認め、フォスターファミリーにすべてをゆだねたことです。そこに至るまで、数年の年月を要しました。

そして、奇跡的な形で、離れて暮らす親子が神様を受け入れ、クリスチャンになり日曜日に教会に一緒に通うようになります。

現在、長女は、ゴスペルシンガーを目指し、UCの声楽科の1年生、次女は、自分の辛かった子供時代の経験を他の不幸な子供たちを助ける仕事に生かしたいということで、秋から同じUCで心理学を学びます。自分の与えられた使命に向かって、希望と喜びに満ちた日々を送っているそうです。


Kさんのこの問題が、我々にはとても他人事とは思えません。


私たちは、日本で生まれ育ち、教育を受け、大人になって渡米しました。そして、日本の価値観を引きずりながら、アメリカで子供を育ててきました。


今まで正しいと信じてきた唯一の価値観というのは、子供の頃からわき目もふらず、熱心に勉学に励み、一流大学に入学し、一流企業に就職すれば、一生幸せな人生を送れるというものです。

しかし、子供たちは、一日の大半をアメリカ人と過ごし、アメリカ社会の価値観にどっぷり浸って生活しています。見かけは日本人でも、考え方、人との付き合いすべてがアメリカ人になっている子供が多いのではないでしょうか。


日本のように全員が18,19才で大学行く必要もなく、いくらでも軌道修正が可能で、敗者復活戦も用意されているアメリカ社会のシステムを知っている子供に、古臭い日本の人生プランを無理やり押し付けても、うまくいくわけありません。


Kさんから、私たちへのメッセージです。


● すべてのことに感謝すること

家族が一緒に暮らせること、家族が健康でいられること、屋根のある家に住めること、1日3回ご飯が食べられる事、日々の生活の中で、与えられているすべてのことを当然だと思わないこと。自分は、夫も子供も失ったので、そのありがたみが、とてもよくわかります。

 ご主人を大切に!!


● 子供は元気で生きていてくれれば、それでよしと思うこと!

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