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2011/05/21
子供の悪戯ですまないこと (1)
子供が小学生の頃、あるお母さんが「家の子には、アメリカは、たとえ子供であろうと悪いことをしたら厳しく罰するから、決して軽はずみな悪戯をしないようにと家の息子にいつも言い聞かせている」と教えてくれました。
その時は、彼女の言葉の重みを私は理解していませんでした。
それから数ヶ月して、校長先生から電話があって、「お宅の息子さんが作った銃を預かっているから、放課後私に会いに来てください。」と言われました。
いったい何をしでかしたのだろうと、校長先生に会ってみると、子供がいつも家で作って遊んでいた割り箸のゴム鉄砲を渡されました。「この工作は、まことによくできているし、これを本物の銃と間違う人もいないし、怪我をさせることもないとわかっているが、銃は銃。法律で学校内にいかなる銃も許されないと決められている以上、校長として、まず保護者とお話しなければなりません。」ということでした。割り箸にセロテープをとめただけの工作に対してもこれだけ神経質になるのかと、驚きました。
次に、校長先生に呼ばれたのは、子供が中学に入った時で、息子がトイレの洗面所で石鹸の泡を大量に作り、それを見て感動した友人5人が真似をして、洗面所を一面泡だらけにして、滑ってしまった生徒がいたそうです。息子自身は、手を洗って洗面所を出ていたので、滑った子供がいたことは知らなかったのですが、事の発端となった責任を取らされて、一日停学処分になりました。 もし、滑った子供が怪我をしていたら、補償問題とか大変な面倒に発展したかもしれないので、悪戯をするときは、くれぐれも気をつけるようにとアドバイスされました。
もっと深刻なできごともありました。息子の別の高校に通う友人が、事前に先生に許可を得た上で、サイエンスの実験用に家からドライアイスを学校に持って来ました。実験後残ったドライアイスを空のペットボトルに入れ、保管しておきました。別の友人がふたを開け、ポンと音がしたので、高校に常駐していた警官が爆発音とみなし、大きな問題となってしまいました。
「爆発物を学校に持ち込んだ」「テロリストとしての活動をした」などという4つの罪状がつき、裁判になってしまいました。
運の悪いことに、その事件の1週間前に、別の高校で、同じようにペットボトルにドライアイスを入れて爆発させた高校生がいて、(彼の場合は意図的)それを真似たとみなされ、よけいに深刻にとらえられてしまいました。
「化学実験がこのような事件に発展して申し訳ない。」と校長先生は泣いて謝ってくれたそうですが、校内で起きた事件とはいえ、最初から警察が関与していたので、校長先生の出る幕はないのです。
結局、息子の友人は、凄腕の少年犯罪専門の弁護士の活躍と、多くの人の嘆願書や普段からの態度がまじめであったことなどが考慮され、執行猶予付きの判決が出て一同安堵しました。
しかし、一歩間違えば、少年院行きの可能性もありました。少年院は、筋金入りの極道ジュニアの巣窟なので、その中で生き抜くだけでも命がけです。暴力、周囲からの影響力、出所してからも少年院出身という負い目、など、どれほどの苦労があることでしょう。
犯罪を犯したわけではなく、ほんの少し配慮が足らなかったというだけで、このような恐ろしい場所に、子供が入る可能性があるということを、私たちはいつも忘れてはなりません。
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