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2011/06/20

忠犬 ベイリー


お隣のティムさんの家には、12歳の老婆犬ベイリーがいます。私たちがこの家に引っ越してきた時は、まだ子犬でそれは可愛くて、玄関先で日向ぼっこをしていると、近所の人が寄ってきて頭をなでたり、話しかけたり大変な人気者でした。

犬の成長は早くて、一年もすると、すっかり成犬サイズになり、ティムさんはいつも大きなドッグフードの袋を重そうに買って帰ってベイリーに食べさせていました。あっという間に、太ってしまい、とうとう牛のようになってしまいました。

ある時、息子と2人で裏庭で遊んでいると、ベイリーが木の塀の節穴からじっと私たちを見ているのに気付きました。思わず「ベイリーもこっちに来れたら、みんな一緒に遊べて楽しいのにね。」と日本語でつぶやいたら、ドンと巨体を塀にぶつけて、塀を押し倒し、本当に我が家の裏庭に来てしまいました。

なんと、ベイリーは日英バイリンガル犬だったのです!!

息子は、ベイリーが遊びに来てくれたので大喜びし、夢中で一緒に走り回っていました。

ベイリーは、お近づきのしるしにと、どこからか大きな鳥の死骸を持って来て、私たちにプレゼントしてくれました。二人は固まってしまいましたが、ベイリーは「まあ、こんなに素敵なプレゼントをいらないなんて、もったいない。」とムシャムシャ鳥を食べ、ゲップと共に、2本の足を吐き出し、私は眩暈がしてきました。

食生活に違いはあるものの、友達であることには変わりないので、私たちは楽しく過ごしました。夕方になり、オーナーのティムさんの車が家に近づいてくる音を聞きつけると、ベイリーは急に我が家の茂みに隠れて、出てこなくなりました。いけないことをしてしまったという自覚があるようです。

息子が、ティムさんのところに走って行き、「僕のお母さんが、ベイリーにこっちに来なさいと言ったから、ベイリーがフェンスを壊してしまったけど、ベイリーをしからないで。」と頼んでいるところをベイリーはじっと見ていました。

「このご恩は一生忘れません。」ということで、ベイリーはそれからずっと息子の味方です。

家の中で私が息子を叱っていると、すぐに聞きつけて、大声で「子供を虐めてはだめよ。チャイルドサービスに通報するわよ。私の父さんは警官なんだから。」と吠え続けます。(そうです、犬は地獄耳なんです。)

息子が学校から帰ってくると、「お帰り。」と声をかけてくれます。

このごろは、寄る年波で、神経痛、頭の上のたんこぶと色々健康上の問題がありますが、それでも息子を見ると、童心に返り、2人(正確には1人プラス1匹)でじゃれて遊んでいます。

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