Bさんとは、本をお貸ししたのがご縁で、時々電話でお話をします。
「チャキチャキの江戸っ子」という言葉がぴったりの元気のいいおばあちゃんです。
そのBさんに、本をお貸しして1ヶ月ほどたった頃、電話が又かかってきました。その前にも「テニー博士の本を頑張って読もうとしても、辛くて先に進めない。もっと長く借りていてもいいですか?」というお電話を頂いていたので、「再延長のお願いかなあ。」と思いました。
Bさんは開口一番、「私、この数週間大変だったの。テニーさんの本を読んだせいか、自分の東京大空襲のトラウマが蘇って、趣味の会でフラッシュバックを起こして、アメリカ人の友達の前で、とんでもない醜態をさらしちゃってね。」とおっしゃいました。
事情を伺ってみると、戦後60年、アメリカでの生活に慣れる事、子供を育てること、生き抜くことに追われて、自分の戦争の体験を閉じ込めたままにしておいたので、今回のセミナーと私の本がきっかけで爆発してしまったのだそうです。
アメリカ人に向かって、「私たち日本人を憎まないでくれ。私だって苦しんだんだ。私の家族は空襲で死んだ。」とわめきちらし、お友達がショックを受けてしまったそうです。
その中で、Bさんの心を慰め、癒してくださったのは、お友達のご主人で、アウシュビッツのサバイバーだったそうです。「戦争は、どちらのサイドであってもみんなが苦しむこと。でも、人間は先に進まなければならないから、自分も他人も赦し、過去のこととは決別しなければならないこと。辛くなる本は読まなくてもいいから、本を返しなさい。」とアドバイスしてくださったそうです。
しばらくして、小包が届き、「本を貸してくださってありがとう。全部は読めなかったけど、よい経験をさせてもらいました。」というメッセージカードが入っていました。
戦争のことなど昔のことだと元気よく暮らしていても、ある日突然、記憶が戻ることもあるのだということをご本人から伺えて、よい勉強になりました。Bさんは、最近は又元気を取り戻し、お友達にも自分の経験を伝えられるようになったそうです。
「次のイベントにもぜひ誘ってね! 私は、色々勉強したいのよ。」と頼まれました。ぽーと会は、子供たちの大学進学とキャリアの勉強会としてスタートしましたが、色々な方に加わっていただけて感謝です。
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